リオでの観光の一日

仕事で海外に一人で来るとほとんど観光はしないのだが、客がいるとどうしても観光、となる。観光も嫌いではないが、いつも同じところばかりで飽きる事が多い。が、このリオ・デ・ジャネイロだけは別である。どこに行っても実に美しいし、いつも新鮮な感動を味わえる。リオではまず高いところから全体を眺めるのが一番。高いところと言うとコルコヴァードの丘の上にあるキリスト像か、グアナバラ湾の入り口南側にあるポン・ヂ・アスーカル。まぁ、一番楽で一番感動できるポン・ヂ・アスーカルから出発。ここはウルカの低地にロープウェーの登り口があり、そこからまず低い方の丘モーホ・ダ・ウルカ(220m)、そしてさらにロープウェイを乗り継いでポン・ヂ・アスーカル(396m)に到達する。モーホの方にはヘリポートもあって、ここからリオ市内への観光ヘリも飛んでいるし、中程にある野外劇場〔最近は壁で包まれている)ではカーニバル時に世界中の同性愛者たちが集い一大フェスティバルが開かれていた。カエターノや、ガル・コスタと言ったアーティストたちの元マネージャー、故ギジェルミ・アラウージョはこのフェステバルのオーナーで、ここには世界中の大金持ちの同性愛者が集まるからその収益だけでブラジル、ニューヨークの1年間の事務所経費からすべてを捻出していたと聞いたことがある。そこからポン・ヂ・アスーカルまでのロープウェイから眺める景色は抜群。目の前の岸壁ではロック・クライマーたちの姿に出会える。

リオはどこから見ても考えられないほどの絶景ばかりだが、個人的にはこのポン・ヂ・アスーカルからの眺望が一番好きだ。360度のパノラマで、ノルコヴァードのキリストも、ニテロイ大橋、れみ。コパカバー名海岸、遠くにはマラカナゥン・スタジアムも覗ける。今回も天気に恵まれてまさに絶景だった。ロープウェイは夜も運行していて、ここからの夜景も実に見事なもの。

さて、ポン・ヂ・アスーカルの下でこの日もテツと待ち合わせ、彼の車でマラカナゥン・スタジアムへ。ここは昔は25万人収容と騒がれていたが、92年に大規模な落下事故があって改築、現在は全席椅子席で80,000席収容となっている。しかし、各種イベントやコンサートではかるく10万人を超える人数を収容できるから今でも国内外の大アーティストのコンサートに使用されている。すべてが改築されて立派になっていたが、この日は残念ながらサッカーの試合がある日となって見学はできなかった。ついでに向かったのがテツが前からおすすめの中華レストラン「Primeira Pá」へ。こんな北部の危ないところにどうして、と言う場所にあるが、とにかく美味い。リオデジャネイロ中国文化協会の中にあるレストラン。入り口からして少しの気取りもなくゆったりした雰囲気。とにかく餃子(ニンニクはない?)が思い切り懐かしい。他にもエビ料理、炒め物などどれも最高の味だ。料金も決して高くない。マラカナンの方に向かったときには是非訪れてみた方が良い。ついで、サンボドロモを経由し、最後は昼間のラパを経由してテツの済むサンタ・テレーザを通ってドナ・マルタの展望台へ。コルコヴァードのキリストへはあのワールドカップの頃から市が介入してやれば酢煮のレダの、上るのに金も暇もかかるようになったし、何しろ展望台は狭い。このドナ・マルタの展望台はキリストもすぐ近くに望めるし、リオの街もグアナバラ湾も最高に美しい。しかも歩いてすぐのところにはヘリポートもあってそこからの形式も抜群。さすがテツだ。で、夜はラパの一番大きな3階建ての店「ヒオ・セナリウム」へ初めて言ってみた。今までもこの店の噂は聞いていたのだが、たまたま出ているアーティストが他とぶつかっていたりで行けてなかった。ラパの全盛時にはここを目指す客が行列を創ったそうだが、等パ任期が翳りを見せ始めている今では、一杯ではあるが普通には入れる感じ。しかし、店作りのセンスがよい。アンティークをたくさん並べてあったり、広くない建物にステージを作り、なんとどこからでもステージが見えるように吹き抜けにしたりとよく考えられている。周りのレストランも良い店が多い。ここでは前から名前を聞いていたマコさん二も会えた。10年以上も前にリオにやってきて昔リオの劇場かどこかで私と会ったと言うが、あまり良く覚えてなかった。しかし、こちらで歌手とパーカッションをやりながら生きているたくましいお嬢さんだ。これからも音楽の件ではいろいろお世話になるかも。

一日中観光の付き合いだったが、楽しい一日だった。