この世のパラダイス!カリブのカージョス・コチーノス!

 最近は世界に出たがる若者が減っているという噂を聞くが、私の廻りには結構1人で世界を、しかもなかなかディープなスポットを歩き回る若者も沢山いる。どうせ廻るなら、人とは違ったパラダイスを歩いてみたい、そんな勇敢な仲間にお勧めの厳選旅スポットを紹介。このシリーズではLATINAの廻りにいる旅のプロや、現地滞在の友人達に登場して貰って紹介していきたい。

 最初は、なかなかディープで感動的なこの世のパラダイス。ホンジュラスの美しい街セイバのカリブ海に並ぶ島々、カージョス・コチーノスを紹介。ホンジュラスというと、首都のテグシガルパはフォルクローレの色濃い街、第2の街サンペドロスーラは大きな産業都市だが、あの中米から南米北部、果てはアメリカの大都市まではびこるマラスという暴力集団のせいで治安が問題。しかし、ここ、ラ・セイバは、ホンジュラスがバナナ共和国と呼ばれるほど、バナナの生産量が群を抜いていた頃(1956年には世界のバナナの85%を占めた)に、アメリカ資本の多国籍企業スタンダード・フルーツ社が大プランテーションを作り、バナナをニューオリンズへ向けて運ぶ港として栄えた街。教会や大学にゴルフ場、野球場まで揃った、アメリカ人やイギリス人も住んでいて欧米の臭いのする建築も多く見られる素敵な街だ。

 そして、この街は、中米から南米北部のカリブ海沿岸に住み、アメリカの大都市にもコミュニティを作るガリフナ族が多く住んでいる。ガリフナは、もともと小アンティル諸島の先住民と、アフリカから奴隷として連れてこられた黒人の混血で、セントビンセント島でイギリスの植民地化に反対する戦いに敗れてから、このラ・セイバのカリブ海北にあるロアタン島に集められ、そこから各地に移っていったと言われる。独特の音楽、文化、舞踊を伝承し、現在ではその進化を模索する集団も多い。


 ラ・セイバは、ピコ・ボニートという山とそこに流れるカングレハル川沿いにハイキング、トレック、カヤック等が楽しめるし、逆にカリブ海嬢には大きな島(と言っても小さいが)と、まるでロビンソン・クルーソーでイメージするような、まるでサンゴ礁の上が海の上に飛び出しただけのような小さな島がたくさん群れになっているカージョ・コチーノ群島、さらにもう世界的に有名で、ラ・セイバからは60キロ離れた、クルーズ船も停泊できる最大の島があったりする。ロアタンが観光地として有名で、物価も高いのに対し、まだカージョス・コチーノスの方は、まだ開発途中といった感じか。いずれも、ここにはガリフナが住んでいて、昔はガリフナ以外は住めない時代もあったのだとか。現在は上述したピコ・ボニートの山系や、このカリブの島々でガリフナたちに観光産業をしっかり分かち合うプロジェクトも進んでいて、どこに言ってもガリフナの人なつっこい笑顔に触れることができる。

サンボ・クリーク
カージョ・メノールの桟橋
チャチャウアテ

 カジョス・コチーノスには大きめの島カージョ・グランデ、やや小さめのカージョ・メノール、そして、全幅が100メートルほどのチャチャウアテと言う島があリ、その他、無人島みたいな小さな島もいくつもある。この島への行き方で一番普通はラ・セイバの中心から西へ20kmほどのサンボ・クリークというガリフナ村の海岸に行き、そこに停泊しているボートと交渉する。皆気は良いので大丈夫。多少高目でもたいしたことはないから貸切りで借ります。何故かというと、トロピカルの気候は気まぐれ、カージョ・メノールの桟橋までの4,50分に天候が代わることがあるため、肝心のチャチャウアテの「カリブのパラアイス」の光景を見るには、完全に晴れる必要もあるから。チャチャウアテでは本当に少ない住民で幸福な暮らしを楽しんでいる。もっとも、ハリケーンが来たら、近くの大きな島に避難しなければならないだろう。しかし、どう考えても幸福な生活だ。海岸にひとつだけのレストランがある。メニューにエビがあったので頼むと、店員の男の子が海へザブン。エビが一杯入った網篭を引き揚げてきた。生きたままのエビをその場で料理。冷たいビールを片手に、まさにパラダイス。近くには、世界中からエコ・ツーリズムやマリーン・スポーツ等のすべてが揃ったロアタン島がある。ショッピングの楽しみもあるだろう。クルーズ船もやってきて賑わうところだ。しかし、深いところまではっきり覗ける透明の海をもつカージョス・コチーノには、まだまだプリミティヴな雰囲気がたっぷりと残っていて、ガリフナの人々に正しく仕事を作り出そうと一緒に頑張る優しさに直接出会えたりする。思い切り明るく、感動的で、しかも考えることも一杯与えてくれる、カージョス・コチーノスはそんな最高のパラダイスだ。

カージョス・コチーノへの往き方

トゥリウンフォ・デ・ラ・クルス

 さて、カージョス・コチーノスに行く方法は以外に簡単だ。世界中の街から大体1ストップで、ラ・セイバに一番近い都会サンペドロ・スーラに行ける。日本からでも、ユナイテッド航空ならヒューストン経由、アメリカンならマイアミ経由、デルタ航空ならアトランタから毎日から毎日便数も結構出ている。アエロメヒコ経由でメキシコ・シティ経由で向かうのも良い。世界中結構巻単位サンペドロスーラには到着できます。そして、サンペドロ・スーラからラ・セイバは飛行機で30分で料金も安い。車でも行ける距離だが、途中の山道には機関銃を持っている盗賊もはびこっていると脅かされたから、できるだけ飛行機で行った方が良い。ちなみに、サンペドロ・スーラからカリブに抜けるとテラという、スタンダード・フルーツの本拠だった港町が有、そこを少し左に抜けるとエル・トゥリウンフォ・デ・ラ・クルスという結構しっかりしたガリフナ村がある。ショーの時間が合えば、歌と踊りのショーを海岸や簡易劇場でやってくれたりする。

 さて、サンペドロ・スーラからラ・セイバへの飛行機はフライ・チームの運行で、一日1,2便しかないので、この時間からサンペドロ・スーラの到着時間を選んだ方が良い。あるいは、時間とお金がある方はロアタン経由でカージョス・カチーノスまでツアーで往復する手もある。Cayos Cochinos All Day Snorkel Trip、 Cayos Cochinos/Hog Islands Tour  など結構ありそうだが、まぁ、料金も時間も必要だし、全く別の世界の楽しみ方だから、余りお勧めはしないが…。

グアミルと太陽が燃える私の国では
人々の表情から歴史が見える
傷ついたカモメの飛ぶ美しい大地、
おまえは生命を分け与える光、
おまえは種子、おまえは畑を耕す力
おまえの魂は市場の活気の中にある
 
ギターとマリンバが鳴り響く
マラカスとアコーディオンが
フルートとカランバが鳴る
タンボールとカラコルが響き渡る
 
海と峡谷がざわめく私の国では
オレンジとグアバの風味
枯れることない花の色
午後のコーヒーの香ばしさ
そしてアフリカの歌とタンボールの音色
花を積んだ小さなカヌーが行く
 
ギターとマリンバが鳴り響く
マラカスとアコーディオンが
フルートとカランバが鳴る
タンボールとカラコルが響き渡る
 
おまえを愛するには私の心では足りない
けれどこの光は希望を増してくれる
森と炎が解け合い
魚の骨がブラサボラに変化する
 
ギターとマリンバが鳴り響く
マラカスとアコーディオンが
フルートとカランバが鳴る
タンボールとカラコルが響き渡る
 
私の国では…….
 
「ギジェルモ・アンダーソン 訳詞:松本美緒」

(e-magazine Latina8月号に掲載)

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