半年ぶりのブエノス、忙しい録音・録画!

さて、今回のアルゼンチン訪問は、大典が2日先乗り、お客2人が1日遅れとバラバラでの入国となった。荷物もなんとかゲットできて、こちらの弊社の代理人ディアナのところに預けてあった荷物も全部揃って行動を開始。まずは、アルゼンチン大使館のポリカストロ氏と打ち合わせ。前回会ってこの8月の旅で大臣と会う、と口を滑らしてしまったために面倒なことになっている。大使館の人間はどこの国でも同様だが、民間人が勝手に大臣と会うなんて事は非常に立場がないらしい。私の場合はあちこちに友人がいて、別に大使館を通さなくてもこのくらいはセットできるから問題ないのだが、大使館としては、自分たちが動いて問題のないようにいろいろしたがるもの。こちらの国を良く知るものとしては、もっと普通に会った方が自由な会話もできるし、実際に腹を割った話ができやすいのでその方が酔うのだが。で、大臣を飛ばしてその下の人間をキルシュナー文化会館に連れて行く事になっていた。そこで、私は友人を通しているのですべてその友人に了解を取って進めたい、と告げたが、それとなく不満そう。面倒だ。

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さて、初日から今後のタンゴ・シリーズの候補となるオラシオ・ロモもセステートの撮影。ロモは現在自身の活動の他、あの故リベルテーラのセステート・マジョールのリーダーとして活躍している。セステート・マジョールと言えば、初期のメンバーは凄かった。リベルテーラにスタッソ(バンドネオン)、ニチェーレにスアレス・パス(バイオリン)、アルマンド・クーポ(ピアノ)、オマール・ムルタ(ベース)と、名前を聞いただけでも驚くほどの集団だった。それ以降もメンバーは替わったが、リベルテーラとスタッソの強力なバンドネオンがこのグループを牽引し、パリのトロトワール・デ・ブエノスアイレスで大活躍、83年にはパリで「タンゴ・アルヘンティーノ」を成功させ、世界中にタンゴ熱をリバイバルさせてきた歴史的な名グループ。リベルテーラ亡き後、今は若手で注目のオラシオ・ロモがリーダーに抜擢されて、すっかり若手の実力者たちによって運営されている。マネージャーがリベルテーラの息子で、相変わらず世界をまたに活躍中だ。ただ、日本の春のタンゴ・シリーズは長い。まだ巨匠エドゥアルド・ヴァルサックがご健在で、この長い日本公演に招待するのはなかなかきつい。で、企画の案にはオラシオ・ロモのグループで挙げたわけだ。

録画はいつものカフェ・ビニーロ。経営者のチェチェは自身が音楽家(バンドネオン)であり、プロとして何か新しい実験アドをするのに、この保守的なブエノスアイレスには「場」がない。そこで一念発起してこのライヴ・ハウスを開けた。だから、この店からはたくさんの著名アーティストが育ってきているのに、我々のような意気投合した外国人プロデューサーがちょっとしたプロモーションビデオを撮影する時にでも協力してくれる。しかも、ここのアーティスト・ブッキングをしているテレサはイバラ前市長の時代に世界選手権を始めた時のスタッフだ。日本で開催しているアジア大会にもチェッカーとして来日、弊社のスタッフとも仲良くやっている素晴らしい女性。彼女の母親はアルゼンチンで一番大きな楽譜出版の会社を持っている大変なインテリで、テレサと知り合う前から懇意にしてきている。と言うわけで、今回も突然の予約だったが快く引き受けてもらった。

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さて、オラシオ・ロモ。この間書いたようにじつは今はセステート・マジョールのリーダーとしても活躍しているが、当然自身の背ステートでも活躍している。フェデリコが存命の時はフェデリコの楽団でも長く演奏していたし、同じフェデリコの門下である、ニコラス・レデスマやパブロ・アグリとも長い間一緒にやってきたから、数年前のレデスマの来日公演でも来日しているし、来日経験も豊富だ。じつはパブロ・アグリは彼のセステートのメンバーだが、アグリは彼の弦楽アンサンブルも将来の候補のために、今回は別なバイオリンを入れることにした。結局今のところ;

Daniel falasca ( contrabajo)
Fulvio Giraudo ( piano)
Manuel Quiroga ( violin)
Leonardo Ferreira ( violin)
Luciano Sciarretta ( bandoneón )
Horacio romo ( bandoneón)

と言う素晴らしいメンバー。この日の録音はとりあえずのプロモーション・ビデオのもの。しかし、凄い演奏が続いた。もっとも、新たなメンバーもいたから彼らの得意な曲ばかりではなかったが、とりあえず良いものを録ることができた。