タンゴダンス・アジア選手権まで1週間。

2016タンゴダンスアジア選手権チラシ_omote
アジア選手権チラシ・ポスター

いよいよ今年もタンゴダンスアジア・アジア選手権の時期が近づいてきた。思えば今から12年前、あのイバラ元ブエノスアイレス市長が43才の若さで市長に当選した直後に始めたのが世界選手権だった。その2回目の翌年、その市長を支えたスタッフの一人が、アバスト地区再開発に関わっていた仲間で、私のところに日本大会をやって欲しいと依頼してきたのが最初だった。私自身、ダンスというものには全く興味がなく、日本でタンゴダンスと言えば思い浮かぶのが老齢のタンゴ・ファンが集ってやっている、ということだけ。しかし、帰国して調べてみると、すでに若いファンたち、しかも結構な数のファンがいることを知った。その仲間たちというのは、例えばあの小松亮太の仲間たちで、昔の飲み仲間だった向島に住む桑原和美さんが主宰するタンゴ・ラブというグループだったりしていた。

昔5,60年代に大ブームがあったせいで、日本でタンゴというと、まずファッショナブルとは言い難い老齢のファンが現れる。それがどんなムーブメントを起こそうとする時にも〔ピアソラをプロモーションするときでさえ〕邪魔だった。タンゴ・ラブもその問題に直面していて、彼らのミロンガでは若い世代に限るために老齢者お断りの決まりを作って、多少問題になったりしていた。そこに、小松亮太のプロモーションを担っていたソニーミュージックの社員たちが加わって、白銀のソニー・ミュージックの最上階のクラブでレッスンとミロンガまで開催していた。

_DSC9391そのことに意を強くした我々は、このブエノスアイレス市の申し入れを受けることにしたのだった。しかし、マルモンティという市から選手権の取り仕切りを依頼されていた男は、開催する権利料をとると言い出した。これがすでに開催に向けて動き出してから。最初から赤字覚悟の出発だったのに、まさに追い打ちをかけられた形だ。何人か資金を援助するという人間も現れ、1年目は予想以上の人気となった。最初の年は韓国人カップル、翌年は神戸の亮&葉月という日本人カップルがステージ部門を制し、世界大会でも準チャンピオンという偉業を成し遂げた。アジア大会の方も当時はステージが主流。世界的に〔アルゼンチンも含めて)プロモーションのためには派手なステージ部門が主導すべきなのだが、そんな本質をわからない老齢者がどこにもいて、TV放映の際におかしくすることがよく起きた。その問題は今も続いている。ミロンガ用のピスタが伝統的で、その存在がタンゴの層を多くするのも事実だが、何も知らない若者たちが、タンゴ・ダンスに最初に気をひかれるのはあの派手な振り付けのステージに決まっているのに、その感覚がわからない輩がいる。TV曲の若いスタッフもみろんがに言って、ステージのデモを見てせっかくやるきになっているのに、ピスタが大事だからと言ってピスタの絵を入れるように上司に言いつける。と、スタッフはまさにやる気のない番組を作ることになる。そして、そんな輩はそれが自分のせいだと気付くことはない。しかも、そういった老人は、じつは音楽の方だって全く感覚的にわからない人間が多い。そんな訳のわからない邪魔をされながらも、なんとか13回に辿りつけた。これからは、そういう訳のわからないのを一日も早く排除して、正しくプロモーションしていこうと思う。

_DSC9384今年は13回目のアジア選手権である。1週間前の今日、出場者の締め切りだったが、ピスタ77組、ステージ15組、計184人の出場が決定した。昨年から何故か海外組が増えて、120組近い出場者だったのだが、海外組の方が強く、準決勝の時点で日本人がたくさん落選してしまったことの影響もあるのだろう、今年は海外勢に比べて日本人の参加者が減ってしまった。とはいえ、全部で92組もの出場者だ。始めた頃とは比べものにならない興隆ぶりである。

昨年の世界選手権で、ロシア勢の活躍が目立ったが、アジアでもインドネシア、フィリピン、韓国あたりのレベルが年々上がってきていて、アジア大会でも彼らの上位入賞組が増えている。日本が一番愛好家の数は多いのに、何故か海外勢に引けをとっている。

ステージ部門は、アジアでは日本勢のお家芸だったが、アジア大会の初回と、数年間の2回だけは韓国のカップルにチャンピオンの座を奪われている。今年のステージは以前にチャンピオンになった韓国のカップル以外は皆日本人だ(コロンビアと日本のカップルも1カップル)。ピスタ部門は、申し込み最初の40組はほとんど海外勢だった。ステージは15組と出場者数は少ないが、力のあるカップルが揃っていて熱戦が期待できる。ピスタの方も日本人の活躍を大いに期待したい。

ところで、今年はアルゼンチンから連れてくる審査員の顔ぶれを変えた。今まではビザの問題もあって、似たような顔ぶれになってしまっていたが、今年からレッスンをやらずにデモと審査に集中してもらうようにしたところ、昔からよく知る、しかも世界選手権では審査員としてかなり中枢にいる2カップルを招聘することになった。彼らのデモは実に楽しみだ。改めてステージの良さを実感できる素晴らしいデモになることと思う。1週間後を控えて、事務所にも出場者たちの来社も多くなって雰囲気が盛り上がってきた。後少し、頑張るしかない。