タンゴ世界選手権の意外な結末!!!


タンゴ・フェスティバルが華々しく開幕して、それから遅れること約1週間、20日からはいよいよタンゴダンス世界選手権の予選が行われた。今年の世界大会出場者数は、各国の大会でのチャンピオンたちなどを加えると合計487組が出場したことになる。予選に集結したのはサロン部門342組、ステージ部門120組だった。

日本からは合計11組の精鋭たちが出場した。その他の国ではラテンアメリカ諸国、米国、カナダ、ロシア、トルコ、イタリア、シンガポール、中国、香港、韓国からの出場が。確実に人気は上がってきていて、予選を見る限りでもそのレベルがかなり上がってきているのがわかる。

 はっきり言って予選大会では、あまりに出場者数が多く見る方も結構疲れるものだ。ところが準決勝になると選ばれた者たちの戦いで、俄然レベルが高く感じる。サロン部門のアジア大会チャンピオン、マルティン&ユカはシードがあるのでこの準決勝からの出場。そのほか、日本ペアで予選を勝ち抜いてきたのはヒロミ&ナツ、そして高志&めぐみの二組。その他、昨年からブエノスに残り「ファエナ」のタンゴ・ショーで活躍しながら、この機会を狙い、アルゼンチンから出場してブエノス大会では美事優勝したクリスティアン&ナオも出場している。

ステージ部門では、予選を勝ち抜いたのはアジア大会2位でこの大会にやってきた中澤源太&Manaのカップルで、アジアチャンピオンの韓国ペア、ペニンスラ&パソ・ハンはシード権を持っているため準決勝からの登場。その他、アルゼンチンからの参加で例年上位入賞を果たしているクリスティアン&ナオも当然予選を上位で通過してきている。

サロン部門準決勝の結果は、大健闘したかに見えたマルティン&ユカが敗退、ヒロミ&ナツのみが35位で決勝に進出。クリスティアン・ナオも当然ファイナリストに。ステージ部門ではアジア大会チャンピオンのペニンスラ&パソ・ハンのペアはやや固くなったか、あのアジア大会での圧倒的なダンスは影を潜めて準決勝で敗退。中澤源太&Manaとクリスティアン&ナオがファイナリストに。予選からずっと眺めてくると、この大会でファイナリストに残ることがいかに難しいか実感する。それだけ是改善対のレベルが上がってきているということだ。

 決勝はいつもの通りルナ・パーク。やはりここの大きなステージでは、準決勝までのステージと大きく違うため、見え方が違ってくる。弊社スタッフはビデオ・写真の撮影を兼ねているからゆっくりと観戦できないが、市が用意してくれている撮影席はミキサー横の特等席だ。27日はサロン部門の決勝。準決勝を勝ち抜いた41組が競い合う。昨年は最高点がいずれも外国人(ベネズエラとコロンビア)で、最終的に同点決勝を行いチャンピオンが外国人の手に渡った。今年は、アルゼンチン人たちの巻き返しが凄かった。ブエノス大会で優勝し、準決勝を2位通過していたクリスティアン&ナオのダンスはかなり評判が良かったのだが、結局14位に沈んだ。ヒロミ&ナツも今年は余裕の演技で高得点が期待されたが、結果は25位。はっきり言って腑に落ちない審査結果だった。優勝はブエノス大会のワルツ部門で優勝していたパオラ&ファクンドのペア。2位はやはりブエノス大会のアダルト部門、ミロンガ部門でチャンピオンになっていたファティマ&マキシミリアーノ、3位はあのチズコと2010年にステージ・チャンピオンになったディエゴのペアが入った。

翌日のステージ決勝。予選、準決勝と1位通過してきたナイール&ニコラス、実は準決勝で評判の高かったクリスティアン&ナオ、昨年日本にやってきたクリスティアンも3年連続で準チャンピオンに輝いているが、マヌエラ・ロッシからサブリーナという非常に妖艶な魅力のあるパートナーに替えて今年はトップを狙っている。中澤源太&Manaも、ファイナリストになったことで十分と言っていたが、無欲の精神状態で逆にかなり良い演技が期待できる。見所の多い決勝大会になった。

 20組の演技が終わり、結果発表までの間、今年はピアソラ没後20年ということでピアソラへのオマージュ、孫ピピのピアソラ・エレクトロニコの演奏があった。管×3、キーボード×2、ピアノ×1、バンドネオン×1、ギター×1,パーカッション×1,ベース×1、ドラムス×1(ピピ)という編成で迫力ある演奏を聴かせてくれた。まぁ、ピアソラが聴いたら何というか?
左写真はピピとオラシオ・フェレール

 そして結果発表概ね予想通りだったが、誰もが驚いたのがチャンピオンだった。5位Kらはっぴょうされて、2位までは大体予想通りのカップルが入賞していたのだが、チャンピオンは準決勝11位のマリア・ノエル&クリスティアン・ソーサが選ばれたのだ。彼らの選曲はピアソラ=フェレールの名曲、ゴジェネチェの歌う「エル・ゴルド・トゥリステ」で、この広い会場に義じぇねちぇのあの声が響くと確かにゾクッとする。しかし、これはダンスの選手権で、特に振付が秀でていたわけでもないし、廻りからかなりブーイングがおこっていたが、まぁ、この審査員と採点の問題は恐らくまた大きな論議の対象になるに違いない。圧倒的に評判の良かったクリスティアン・コレア&サブリーナは3位、ずっと1位通過を続けてきたナイールのカップルは4位だった。ナイールのペアは確かに決勝ではやや固くなってしまったのか準決勝までの制裁はなかったが、それにしてもこの二組ともいわゆるタンゴ・ハウスで踊っている「プロ」と言える。しかし、この選手権にはアマチュア規定というものは存在しないはず。毎年思うことだが、プロに厳しい採点は改められるべきと思う。準決勝11位で、他のカップルに大きなミスもなく突然チャンピオンでは、誰もが「何かある」と疑われても仕方がないだろう。最後の最後で後味の悪い大会になってしまった。

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