アウロラ、サード・アルバム録音!


 2年前、ブエノスで大成功を収めた日本のタンゴ楽団オルケスタ・アウロラだが、その後はリーダーのひとり、会田桃子の結婚や出産があったりで、なかなか思うような活動が出来ていなかった。しかし、そろそろ思い切って活動を再々させようとレコーディングを決めた。彼らにとってはサード・アルバムとなるが、このアルバムを発売、そしてライヴをやりながら販売していこうというわけだ。

ところが、また会田の第2子誕生の報。予定は12月ということで、ライヴのスケジュールがまたまた狂ってきた。とは言っても音楽家である前に人間としての生活の方が大切だ。とりあえず、レコーディングにはまったく支障がないので予定通り先にレコーディングをすることにした。

 CDの売り上げが芳しくない昨今でも、彼らのCDは予定通りの展開を見せているのだが、それにしても日本のスタジオではなかなかコストがかかりすぎだ。などと考えていたら、弊社からほど近い祐天寺に素晴らしいスタジオを友人から紹介された。ブースの数も広さも申し分なく、その友人の録音で立ち会ったことがあるが、スタッフの情熱、技術、どれをとっても最高だ。9月24、26日の2日間で録音、10月15日にミックスという予定でスタート。

 今回はピアソラ没後20周年ということでピアソラ曲半分、オリジナル曲半分ということでスタート。当初はどこか劇場を借りてライヴ風に一発録音ということも考えたが、彼らの音楽を考えるとやはりスタジオ録音が圧倒的に良い。しかもここの吉川さんというミキサーはもうベテランなのだが、「タンゴをやってみたい」ということで手を上げてくれた。青木菜穗子が「これが我々の好きなサウンド」といってサンプルとしてブエノスアイレスの録音物を何枚か渡していたら、吉川さんそれを十分に研究してくれて当日を迎えてくれた。

 ピアソラ作品からは「マロン・イ・アスール」「デカリシモ」「リベルタンゴ」「天使のミロンガ」「チキリン・デ・バチン」の5曲。あとは会田と青木のオリジナル曲が5曲。「リベルタンゴ」ではパーカッションを、という会田桃子の希望で大儀見元氏に登場して貰った。

オリジナルの方は、今回はかなり充実している。まぁ、タンゴという視点から考えるといろいろいう人間もいるかも知れないが、タンゴを生業にしている音楽家たちの意欲溢れるオリジナル作品ばかりで、目線は世界にあるのだから出来るだけ自由に演奏して貰った方がよい。もちろん、事前に練習はしてきているのだが、スタジオで最終調整をしながら録音していくのだが、みるみるうちに原石が輝き始める姿は、この録音という仕事の一番楽しいところだ。

 大儀見さんとは実は久しぶりに会ったのだが、いつも素晴らしい演奏を聴かせてくれる。せいぜいカホント小物程度かと思っていたら、この日の録音を聴いていて、かなりのセットを組んでやってくれることになった。この「リベルタンゴ」はアレンジもかなり凝っていてそう簡単ではないのだが、仕上がりは非常にうまくいった。

「リベルタンゴ」だけでなく「チキリン」も今回はアレンジがなかなか凝っていて、ミックスが終わった時点ではみんなが大満足。特にこのスタジオのスタッフには大感謝。ミキサーの吉川さんに葉特に感謝、感謝だ。吉川さんにとってタンゴは初仕事。タンゴといってもいわゆる古いタンゴではないから、簡単ではないのだが、だから充分準備してくれた上に、ミックスに当たっては、事前に彼なりのあらミックスをやってくれているのだが、実はこれがほぼ完璧。後はミュージシャンたちの要望を聞きながら進めるのだが、事前の素晴らしい作業がなかったらとても予定時間には収まらなかった。

終わって、吉川さん、アシスタントの….さん、リーダーの青木菜穗子さんと喰った寿司は実に美味いものになった。あとはこれを持ってブエノスのアリエルにマスタリングを任せて、発売は来年春辺りか。楽しい録音が出来た。

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