盗難事件、夜のタンゴ


 バンドネオンのファビオから電話があった。実はアルゼンチンを代表する世界的に活躍するクラシック・ダンサーがいて、今度タンゴのステージをやるのだが,その前に紹介して欲しいと言っている、という。私はクラシック・シーンは殆ど関係ないから会っても無駄、と言っても何でも日本のアルゼンチン大使館からの紹介で「会うだけで良いから」という。

イニャキ・ウルレサーガだった。この国のクラシック・バレエというとフリオ・ボッカが有名すぎるが、このイニャキも世界を股に活躍しているダンサーだ。以前はバレー・カンパニーに所属して世界中、もちろん日本にもやってきていたが、最近はアメリカ、ヨーロッパを中心に自分のカンパニーでのバレー・コンサートを行って高い評価を受けている。元々、中南米では数多くの受賞歴もあるダンサーだけにフリオ・ボッカの後継,と言う存在だ。その彼が,8月9日からセルバンテス劇場で4日間のステージを行い、後半の2日間はピアソラがテーマで,是非観て欲しいと言う。わざわざラプラタ市からこの粗末なアパートまで尋ねてくれたのだから、専門外だがこれもひとつの勉強、どこか一日行って勉強してこようと思う。 “盗難事件、夜のタンゴ” の続きを読む