嬉しい長男の結婚式


長男が4月28日結婚した。32才。相手は同じ会社の滝沢奏子さん(通称タッキー)。もう2年も前からつきあい始めて、ようやく結婚というわけだ。じつは住処を購入するに当たって、どうしても入籍の必要ありと言うことで、昨年9月に書類上は結婚していたのだが、なにしろ昨年から今年にかけては長男の大典は、国内国外の出張続きで東京にすらいられない状態。それで、4月28日の結婚となった。

我が家はすでに次男が先に結婚したが、結婚式をしなかったので、われわれ夫婦にとっては初めての結婚式。もう少し緊張したり、感動したりと言うことがあるのかと思いきや、やはり娘ではなく息子の親のせいだろうか、それとも二人ともすでによく知っているもの同士の結婚だからだろうか、意外と平静だ。場所も日程も結婚する二人が、と言っても大典は忙しいので、ほとんど新妻タッキーが一人で進めてくれたようだ。

我々の結婚式を思い出した。もう35年前になる。レコード会社で録音の担当もしたせいで、当時としては比較的良い給料を貰っていたにもかかわらず、殆どが酒と遊びに消え、その後のスペイン逃亡代なども嵩んで、結婚を決めた時には終始はマイナス状態。それから女房に財布を預け、辛抱してようやく結婚式に漕ぎ着けた有様だった。式場は渋谷・南平台のカトリック教会。女房がその昔ガールスカウトをやっていた教会なのでほとんど無料で借りられた。披露宴もその教会の集会室がほぼ無料で借りられたので、そこに仕出し屋を入れて、とにかく安く上げたのを思い出す。後は仲間の音楽家たちに最高の演奏をして貰って、なんとかさほど評判を下げずに済んだと記憶している。なにしろ昔から私の思考は単純で、払うことばかり考えて当初は入る金があることを計算しなかったおかげで、利益が出てしまった。で、新婚旅行はスペインへ。レコード会社からの逃亡時に行ったスペインの中でもついに行けなかったヘレスのフラメンコ博物館を最終目的地にして、ホテルの予約もないまま、かなり気楽な旅をしたものだった。

そして2年後に生まれたのが長男の大典。実際に彼が世の中に出てきたのは朝9時頃だったと記憶している。雑誌のページのためのオーディオ製品の搬入をやっている時に電話。「おめでとうございます、男のお子さんです!」の声に喜んで広尾の日赤病院へ。会社からも自宅からも車で5分くらいの所だからすっ飛んでいったが、ちょうど分娩室から移動中の息子に初対面。生まれた直後の息子の顔は縦に長い。逆子で難産だったせいらしい。瞬間的に「やばい!!!」と思った。顔が長かったせいではない。顔の長いのは9時間近くかかった難産の生徒説明されていたから。それよりも、実際に息子というものの存在を実感して、それまでは気楽すぎるほどに生きてきた自分がはじめて真剣に人生設計でも、と気がついたからだった。

翌日対面した息子は、長い顔を丸くなって、とにかく良く笑う子だった。あの笑顔が今でもそのまま続いているのだが、笑顔が売りの人間は本当に得なものだ。この結婚式にも、色々なあり得ない偉い方たちが出席してくれた。心から感謝したい。本当はもっと出席をお願いすべき方たちもたくさんいたはずだが、席数にも限りがあるし、人選は彼らに完全に任せることにしていたから、結果的に失礼も随分あったように思う。

それにしても楽しい結婚式だった。あり得ない方たちのスピーチはもとより、最初から「俺行くよ!」と行ってくれた宮沢氏、同じく「スケジュールがあるから早く言ってね!!!」といってくれていたオルケスタ・アウロラや世界チャンピオン、HIROSHI&KYOKO、最高に盛り上げてくれました。心から感謝したい。

親族代表の挨拶。ここは涙の場面、と実はかなり綿密に文章を練っていったのだが、来賓、音楽家のみなさんの挨拶で父親の私があまりにもイジラれてしまったせいで急遽内容変更。勝手に口から出任せの挨拶になってしまい、タッキーのご両親には申し訳なかったと反省している。でも、本当に良い結婚式にして頂いたのは出席して頂いた皆さんのおかげと大感謝だ。

長男大典にとっては良い相手で良かったと思う。息子には昔から「お前には残念ながら俺の血が流れている。だから女房は頭の良い、しっかり者がよい」と言い続けてきたが、実際その通りになった。タッキーは最初の面接から「声の大きいしっかり者」と感じていて、入社後も休みも惜しまずに働く姿を見てきた。まさに長男にはうってつけの女性だ。でも、この時代、何があるかはわからないし、この先は誰の目にもまったく不透明だ。どんな事態にぶつかろうとも、得意の笑顔を絶やさず、しっかりと一緒に生きていってくれたら、と思う。

さて、結婚式が終わっていよいよ南米への旅に出る。今まで以上にたくさんの難題を抱えた旅なので、少し長い滞在になりそうだが改めて頑張ってこようと思う。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください