ファビオ日本公演終了!!!


2ヶ月と1週間に及ぶファビオの日本公演がようやく幕を閉じた。昨年は後半にあの地震。最後はメンバーを早く帰すのに必死だったことを思うと、今年はなんとか全行程を首尾良く遂行できて良かったと思う。ただ、被災地近くではまだ会場事情すら回復していない。なんとか早く被災地でも喜んでもらえるように祈りたい。

今年は、彼らがアルゼンチンを出発する直前にブエノスアイレスで進行をチェック出来たのが大きかった。ファビオは今までも大物の歌手との来日だったり、本当に彼の楽団が中心になったという意味では今回が初めて。かなりやる気になってきたから全然違っていたような気がする。

 彼の過去の例から、今回は今だから話せるが、ノエリアとの関係を実は一番心配していた。ノエリアがどこでも良いから3曲まとめて歌えるパートを、と要望してきた。ファビオは自分のステージで歌手が3曲続けてやるパートは置きたくないという。ノエリアからは一応希望曲を10曲ほど送って貰っていた。それを聴くとノエリアのパートは充分行ける。ところが電話でやりとりしていても埒があかないので、今年初め1月5日にブエノスの彼女のミニ・コンサートで実際耳で確かめてファビオと最終曲順を決定することにした。

6日にファビオと会って、ノエリアのパートについて話すと、ファビオは不満ながらもOK。で、9日、最終リハーサルを迎えた。ファビオが素晴らしかった。実は不満ながらもノエリアの希望曲の殆どの譜面をおこしていたのだ。ノエリアのテーマ・ソング「マリオネッタ」は良かったし、ピアノとのデュオ部分の長い「La noche que te fuiste」はこちらから依頼していたものですんなり決まっていたが、もう1曲が問題だった。最終リハ当日、ノエリアがじつは、と言って出してきたのが「Se dice de mi」だった。あの難曲をその場でノエリアが完璧に歌いこなし、ファビオも私も驚いた。で、この曲を入れて彼女のパートが完成。2部での「チェ・バンドネオン」「ロコへのバラード」に関しては3人共の意見が一致していたので、彼女のパートも完成。しかも、ファビオも納得の決定となった。

 後はダンス。じつは今回のカップルは非常に良くコンタクトが出来ているカップルばかりだったから、練習も順調にいっているという話は聞いていたが、逆に年末から正月にかけて少し長めの休みを取っていた。で私が訪れた7日のリハではじつは「完璧」とは言い難かった。で、これでは何のために今来たのかわからない、とガツンとやったところ9日のリハまでに完璧に仕上げてきた。この時、ガスパルのリーダーとしての力が格段に上がってきたと実感。しかも、9日のリハを完璧にやってくれたおかげで資料用の録画も完璧に揃った。日本への機中、から彼らが来日までの間に、照明さんへ渡す秒刻みの資料も初めて出来ることになった。ファイナルカットのタイムラインに載せ、それを使って照明指示を作ることも今回からやってみたが些細な指示にはこれが大きかった。しかも、今回はゲネプロ用に会場を2日間押さえて頂いていた。初日からかなり上手くいったのは、そんなすべてが絡み合ってのものだった。全国各地の公演とも評判が良かった。彼らが毎日毎日手直しすれば、スタッフもそれに応えてさらに工夫する、そんな毎日だった。これだけ練習するグループもなかなかない。

最終日は青森での公演だった。アルゼンチンで最終公演というと必ずふざけていつもと違うことを演って喜ぶのだが、今回はせいぜいいつもよりも叫び声が多かった程度で普通に終えることが出来た。こんなに仲の良い…と見えていたが、じつは中ではいろいろ問題もあった。ダンス・カップルの内2つのカップルはこの仕事を最後にカップルを解消することになっていた。しかし、今回の公演中ただの一度もそのことが原因で空気が澱むことはなかった。一番仲よさそうに見えたファビオとノエリアも実は途中で意見がぶつかって心配したこともあった。しかし、問題が複雑になったことはなかった。ファビオは何かを褒められたり顕彰されることがあったが、その時には必ずメンバー全員の名を呼び上げて「彼らと共にお受けしたい」と言った。マエストロとしては若いのに器の大きさを感じたものである。それと、ダンスのリーダー、ガスパルとの友情、経験も大きかった。ノエリアの「Se dice…」で男性ダンサー3人が踊ったが、じつはダンスも上手いノエリアの踊る場面を探していてガスパルと相談、3日目くらいから組んだものだった。そのすべてが上手くいった、珍しいツアーだったと思う。

そのメンバーたちを常に支えたのが財団法人民主音楽協会の皆さん、舞台監督の畔柳さん、道具の新井さん、照明の水野さん、照明アシスタントで完璧なピンを当ててくれたアズミ、照明陣を取り仕切ってくれたひとみ、いつも安定した音を出してくれたPAの坂井さん、琉、窪田さん、弊社で遂行、映像、通訳を担当した大典、多依子、さゆり、すべての人に心から感謝です。

さて、彼らは25日成田からたくさんの土産を抱えながら出発したが、たった今全員無事エセイサ空港に到着したと連絡があった。

このタンゴ日本公演中は、東京と現地を行ったり来たりのことが多く、なかなか人と会えないでいるが、26日はNHKであの「栗山千明のタンゴ・カフェ」の制作統括、宮坂さんご夫妻と久しぶりに食事。やはり局内でもかなり評判だったようで、昔教育テレビでやっていた学習番組の新しい形が狙いでもあったそうだが、相当良い結果が出せたと仰っていた。この続編は夏、ブエノスアイレスで撮ることになっているらしいが、さて、どんな番組になるか。みんなかなり気合いが入っているので面白いことになりそう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください