オラシオ・ロモ、アメリカから帰還

いよいよ本格的に仕事になってきた。毎年恒例のタンゴ・シリーズに決まっているオラシオ・ロモのセステート。もの凄いメンバーで構成されているが、バンドネオン兼リーダのロモが、フォーエヴァー・タンゴのアメリカ公演から帰国したばかり。現在はロモが音楽監督で、未だにアメリカで人気、ほぼ毎回満席だという。今度のオラシオのセステートは、その誰もが最高と認めるメンバーばかりを集めた強力セステートになるが、一部メンバーの変更がありそう。今のところのメンバーは

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オラシオ・ロモ

Daniel falasca ( contrabajo) Fulvio Giraudo ( piano) Manuel Quiroga ( violin) Leonardo Ferreira ( violin) Luciano Sciarretta ( bandoneón ) Horacio romo ( bandoneón)

誰か名前はまだ出せないが、もし本格的に1人が来日出来ないとしても、次に予定しているメンバーも実力十分、アルゼンチンで最高のと形容される凄い音楽家だ。そうなった場合にはこのセステートへの参加も決めているとあって、一安心。

 

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昨年、トルクアート・タッソで偶然出くわしたパブロとオラシオ・ロモ

それから、歌手は彼の女房で、Eleonora Barlettaだったが、なんと最近妊娠したというめでたいニュースで来日は出来なくなった。歌手の選定が今回の急務だ。私の知っている歌手、オラシオが進める歌手、と一応かなりの数を出して、昨日は一緒に聞きまくったが、今のアルゼンチンにはまだまだ知らない名歌手がたくさんいるし、生まれてきている。Youtubeを使って大検討会となったが、まず、来週の1月から3月までの期間に参加できる歌手という条件をクリアしただけで、大分絞られてきた。しかも、できればまだこのシリーズに登場していない方がよい。

 

_DSC9186で、大分絞られてきた。昨夜はほぼ朝まで、自分なりに再検証したが、まだ若いが素晴らしいのを発見。まず若いのにレパートリーが広い。しかも、タンゴのオケだけでなく、ギター伴奏の歌も素晴らしい。ギタリストの名はRamón Maschio。歌の伴奏としては素晴らしい。タンゴ界のギタリストというのも隠れた名人がたくさんいるものだ。で、もし彼女を決めたら今度はギタリストも連れて行きたくなるが、ロモは「大丈夫」という。セステートの
アレンジでギタリストの呼吸並みに歌いやすく作る、と。他にこの歌手ならばバンドネオン・ソロでも伴奏できるからバラエティが広がる。で、早速この歌手のスケジュールを確認。スケジュールも条件もOKだという。とりあえずこの歌手を押さえて、さらにロモも私も探し続ける受けることに。

まだ大分先というのに、2人で大体のステージ構成、選曲の話にまで進んだ。ロモ得意のアレンジものから、やはり彼が音楽監督を務めているセステートマジョール・スタイルのアレンジまで最高のものを選ぼうということに。決まったら早めにレコーディングもしたいし、ダンサー陣の曲、構成も決めなければ、と例年以上に早めに夢が膨らんできた。以前ロモという男はかなりムラがあって難しいところがあると聞いていたが、前回つきあってみて、全く問題ないし、数々のステージでリーダーを勤めて来ているからむしろ正直で話が早い。なんだか、すでに盛り上がってきてしまった。

 

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ガブリエル・ソリア会長

そして、夜は国立タンゴアカデミーのガブリエル・ソリア会長と打ち合わせ。彼は今年から昨年までモッシが勤めていたフェスティバル&カンペオナートのアーティスト・ディレクターに決まった。実はあの立場には、ある嫌なミュージシャンが意欲を見せているという話を聞いていて、そのミュージシャンは裏があるから気をつけてとアドバイスしていたし、今までのフェスティバルへの協力ぶりや、タンゴの知識、アーティストからの信頼感、どれ_DSC9221をとってもソリアが一番とシルビアやフアンホにも勧めていた。しかし、彼はアカデミーの運営や、弊誌ラティーナを含めた世界の雑誌への原稿依頼も半端ない。だから、受けるかどうかと思っていたのだが、彼はアシスタントを雇ってでもやってみたいと言うことで決まったらしい。彼の正直さ、信頼感は誰に聞いても一番だ。正しいフェスティバルになると思う。

ただ心配なのは、昨日シルビアと話して、彼女から日程など聞いてきたが、じつはフェスティバルだけではなく、選手権の方の会場も、一応はウシナになっているものの正式に決定しているわけではなく、できれば昨年のようなウシナの横に特設した会場ではなくやりたいと言うことで検討中というのだ。昨年まで市長を務めていたマクリの一派が国とブエノスイアレス州、ブエノスアイレス市まで一遍に管理することになった上に、クリスティーナ政権が最後には資金などもすべて押さえて出て行ったらしく、改革は簡単ではないという。名にしろ各種組合はクリスティーナたちの中道左派の得意とするところだから、今年いっぱいはすべてのフェスティバルに混乱が付き纏いそうだ。しかし、ソリア氏のやる気からして、素晴らしいものにしてくれるだろうと思う。期待したい。