新政権の向かう方向を考えながらブエノス到着

師走とはよく言ったもので、日本にいても、海外にいても12月は何かとせわしいもの。今回も、12月10日のアルゼンチン大統領就任式の仕事で5日成田を出てきた。いつものアメリカン航空だが、昨年まではとにかく旅が続いていたから今はExecutive Platinumという最高の会員になっている。最安航空券でも年に4回はビジネスにアップグレードできるのだ。しかし、アメリカン航空が USエアウェイズを正式に傘下に置くようになってから、マイレージの利点が極端に悪くなってきた。今までの客に加えてUSエアウェイズのマイレージも有効になったからだ。以前はマイレージというと飛行距離だけで上級に進むことができたが、今は距離の他に使った金額が加わった。もともとビジネス・クラスを余り必要としない性格だから、この手に乗って飛行機に金を使うというのも癪に障る。と、来年からは上級資格への欲望は完全に捨てることにした。しかし、現在は4枚ある無料アップグレードの資格の残る3枚を使い切る必要があるのに、なかなか取れない。予約時にかなり文句を言ったせいで今回は成田の段階でアップグレードされていた。帰りはどうなるか。

ダラスの空港は好きな空港の一つだが、USエアーを統合してマイレージの客が増えたせいで,このところいつも工事していたのが、今回すべて完成していた。といって、特に素晴らしいわけではなく、特に食事などはJALやヒースローの方がずっと良い。

そして,予定通り搭乗。11時間ほど,映画を見たり余り眠れないうちにエセイサ着。もの凄い人だ。現地通貨のペソが急激に下がったせいで,海外からの観光客にはすべてが安いことが影響しているんだろう。入管の列がもの凄い。エレベーターの後ろまで一杯などという光景は始めてかも知れない。約2時間半で入国し、タクシーを手配しホテルに向かう。ペソでは凄い値上がりの湯だが,ドル建てではほとんど以前と同じだ。

アルベルト・フェルナンデス大統領

 

 来る直前に,日本のTVでトランプがツイッターに「ブラジルとアルゼンチンは大規模な通貨切り下げを実施してきた。これは米国の農業部門に良くない。このため、両国から米国に輸出される鉄鋼とアルミニウムに直ちに関税を課す」と投稿した。アルゼンチンはベネズエラのマドゥロを極端に支持してきたが、今のところ、アルベルト・フェルナンデス新政権はこの政策をややトーンダウンするということも耳にしているし、過去のクリスティーナの路線からは大分柔軟な方向を打ち出して、米との距離を開かない作戦と聞く。しかし、どう考えても国民受けする政策を打ち出すざるを得ないのは必至で、10月27日の大統領選で当選後初めて、返済猶予を求める考えを公言。IMFは次期政権との協議に前向きな姿勢だが、交渉がまとまらなければデフォルト(債務不履行)の可能性が一気に高まる。アルベルト新政権も「選挙に勝ったはいいが…」問題だらけでの出発は間違いない。しかし、この問題には経済相として入閣が噂されている若いマルティン・グスマンがかなり精力的に動いていて、かなり良い方向に進んでいるという情報も。ただ、この12月10日を控えて、上記のトランプ発言だ。われわれにしてみると、現地通貨が下がってドルが強くなるのは歓迎だが、クリスティーナ政権の終盤のようにアルゼンチン人が米国に入国するのが困難になるのは何より怖い。この空気感を読んですぐに大きな買い物もしなければならないから辛いところ。若い経済大臣に期待するしかないが、時間がなさ過ぎ。

 到着した今日は金曜日だから特にだが、観光客の急増で、国民の新政権に対する期待は強い。タクシーの運ちゃんも「どうやったところで経済運営は難しいが、観光客がこれだけ増えているのはわれわれにとってはこの上ないこと」と話した。

 8月に来た時に1ドル=35ペソくらいだった為替が,滞在中に50近くに暴落し,その後は思ったほど下がってはいないが、それでもすでにダラル・ブルーと言う闇ドル市場も公然とネットにでていて、今朝1ドル=67ペソだったのが夕方には68ペソにまで動いている。闇ドルに詳しい友人ですら、すでに3ペソくらいの読み違いが起きている。大変だ。

 闇ドルのサイト https://www.cotizacion-dolar.com.ar/dolar-blue.php

 さて、すべての仕事の前に、前回ソフトバンクのチョンボでフリーになっていなかったSIMを無理矢理直してきたが、ホテル近くの電話屋で簡単に新しい電話番号を取得、まずコミュニケーションの対策は万全。あちこちに明日からの行動の約束を取り付けておいた。とは言え、明日はもう土曜日。すでに焦りながらの仕事となっている。