史上最高の盛り上がりを見せたタンゴダンスアジア選手権

ステージ・チャンピオン、高志&めぐみ

 今年で第16回目を迎えたタンゴダンス・アジア選手権、6月15日、17日の両日、いつもの渋谷・さくらホールで行われた。3週間前まで、ということは参加申請締切日の1週間前までは、昨年の記録に少し及ばないかと思っていた申込数も、蓋を開ければ昨年の数字を軽く越える127組(このうち数組が事情で棄権)という申請者を得ることになった。この辺りから、急激に忙しくなった。

  申請受付、180日ルール(180日以内に出場者と何らかの接触を持った審査員は当該出場社の審査はできない)の整理、審査員、チェッカー受け入れ、進行表作製、映像関係の準備、当日撮影の準備など雑誌編集の出稿締め切りと重なった弊社の社員たちはもちろん、進行役の舞台監督、照明、音響、DJの天野さん、司会のHiroshi、英語通訳の中村詩のぶさん、それ4月から大学で西語の教師の仕事も始まって忙しい折に、元弊社社員としてこの選手権立ち上げに大活躍した太田亜紀さん、もう何年も裏方の一切を取り仕切ってもらっている棚田先生ご夫妻を中心にしたFJTAのたくさんのスタッフ、韓国語の通訳のウンジュさん、他にもたくさんの人達の協力を仰いで何とか始めることができた。もちろん、これは選手権が近づいてきてからの話で、昨年さくらホールの予約にいろいろ協力してくれた仲間から、チラシ、ポスターの制作、配布から、審査員の契約、ビザの申請、自分勝手で我が儘な世界大会本部とのやりとりも含めて、大変な苦労を経た上での開催だ。最終的にものすごい盛り上がりとなったが、これはひとえにこのほとんどボランティアに近いタンゴを愛する皆さんの協力のおかげと感謝したい。オフィシャル・ミロンガの運営を任せたATPA(アルゼンチンタンゴ振興会)は、今回はとんだ騒動に巻き込まれたが、結果的に昨年不評だった内容を改善、みんなが一緒になって健闘を讃え合う、素晴らしいミロンガに仕上げてくれた。まだまだ規模は小さくても、やることの量は殆ど変わらないわけで、関わったみんなの心意気には、心からの拍手をお願いしたい。

  ところで、昨年のアジア選手権以来顕著になってきたのは、アジア諸国からの参加が大幅にふえ、逆に日本の参加者がやや減っていること。特にピスタ部門での日本カップルの数が減ってきていることが残念だ。ピスタ部門では海外勢が多く参加するようになってきて以来、比率的には海外勢の方が優勢な状況となっている事も一員なのだろうが、ここでは日本勢のさらなる健闘を期待したい。

ピスタ・チャンピオン、Ma Jinzhehg & Wu Sime

今回から、審査方法も変わった。ブエノスアイレス本部での検討の結果、今までの最高点、最低点をカットし、それ以外の平均点での審査するこれまでの方法はなくなり、この180日ルールに該当した場合、その審査員が採点できない参加者の採点は別に要する補欠審査員が採点するように変更することとなった。アジア側の我々は、この方法も最善とは思えず、この決定に至った経緯を説明してくれるよう要請したが、結果は「本部での検討の結果、今年からはこうなったので従うように」というだけ、従うしかなかった。「最高点、最低点をカットして平均点」の方法はアジア選手権の我々が始めた方法で、本部側もやがてこれに習うようになった経緯がある。審査結果の公表も、アジア選手権が先に採用した方法だった。まぁ、審査方法を巡っては、本当はどの方法が「公平」なのか?本当の正解はなかなか難しいところだが、我々は中でもより公平になれば、との思いから、少なくとも3人の補欠審査員の「平均点」をその穴埋めに使うという方法を中では最善と思い、本部側の了承を得ていた。これでしばらく様子を見ようと言うことでやったのが今回だ。運営側も、審査員、出場者の両方の善意を信じるしかない方法だが、よりよい代替案も思いつかなかったのが実情だ。

 もう一つ、今回からアジア大会への出場できる国が明確にしてされてきた。これは以下の通りとなったが、今回に限っては、新たに加わった国からの出場は、限られたものになっているが、今後はさらに出場国が増えるものと思われる。

  アジア選手権に出場できる国は以下の通り。

アジア : アフガニスタン、サウヂアラビア、バーレーン、バングラデシュ、ミャンマー、ブータン、ブルネイ、カンボジア、中国、北朝鮮、韓国、アラブ首長国連邦、フィリピン、インドネシア、インド、イラン、イラク、イスラエル、日本、ヨルダン、キルギスタン、クエート、ラオス、レバノン、マレーシア、モルディブ、モンゴル、ネパール、オマーン、パキスタン、カタール、シンガポール、シリア、スリランカ、タイ、タジキスタン、東ティモール、トルクメニスタン、ウズベキスタン、ベトナム、イエメンオセアニア : オーストラリア、フィジー、マーシャル諸島、ソロモン、キリバチ、ミクロネシア、ナウル、ニュージーランド、パプア・ニューギニア、サモア、トンガ、ツバル、バヌアツ

 会場の盛り上がりは、今年は司会役の元チャンピオン、HIROSHI、英語通訳の中村詩のぶさんの軽妙な進行で、今年は言葉の問題が大分解消された事もあったのだろう、過去最高に熱いものになった。

最終的にピスタ部門が71組、セニョール部門が26組、ステージ部門が25組で、ピスタ、セニョール合わせて50組、ステージは13組がセミ・ファイナルに進出、決勝はピスタが20組、ステージが6組がファイナルに進出した。今年は競技のレベル、内容ともますます上がってきて、はっきり言ってファイナルに出場したカップルたちに殆ど大差はなかったように思う。そして、チャンピオンの発表。ピスタは中国から参加のMa Jinzhehng & Wu Simengカップルが、ステージは日本のTakashi&Megumiが頂点に。決勝の演技は、いずれも緊張感溢れた素晴らしいもので、二組のカップルには心からの祝福を捧げたい。以下、今年の選手権の結果は以下のサイトで確認を。

http://campeonatoasiatico.com/result.html

  会場は渋谷の大和田にあるさくらホール。これだけ出場者、観客が多くなるとさすがに狭くなってきてはいるが、出場者のパフォーマンスがすぐ近くで見られるし、なにしろ渋谷駅からすぐという立地も良い。来年もすでに6月20日(土)、21日(日)を予約した。オリンピックの年と言うこともあって、もう少し大きいところ、などと贅沢をいってる場合ではなかった。