アルゼンチンの友人が、COVID-19から解放!!!

 COVID-19の行方が全く見えてこない中、日本で感染したアルゼンチンの友人が,一昨日8回目の検査でようやく陰性になって、入院中の都立駒込病院から退院した。Airbnbで探して、夫人と子供は前日から上野にほど近い所に引っ越ししていたが、その翌日の合流となったわけだ。医師からも「子供とBesoもOK。子供に感染する確率は街を歩いている人よりもずっと低い」と言われたとあったが、それでもまだ2週間くらいは中止するように言った所。外国に来て、とんでもないウィルスに感染し、しかも、女房子供もいて,予定していた収入もないまま避難する場所はない。どれだけ不安だったかを考えると,心の底から「良くやった」と言いたい。感染当初はいわれのない中傷や非難の声にも良く堪えたと思う。感染したと言うことは誰かから移されているわけだし、一日38度以上の発熱があっただけだったから本人的にはコロナ感染の感覚はなかった訳だし、念のためと、アルゼンチンの保険会社から病院を指定して貰って、たまたますぐにPCRの検査に辿りついていた。それでも,検査の日でも全く無症状で、退院の日まで普通の様態のまま。これを非難する人間の多いこと。しかし、同業者の不安感もわかるだけに黙って彼を励ますしかなかった。

 後は無事帰国の日を待つだけだが、帰国便は3ヶ月までフリーにして貰ったし、ビザの方も今はなんの手続きもなく、3ヶ月以内ならば、そのまま出獄できる状態で、あとはアルゼンチン側が日本滞在者の入国を認めてくれるだけ。ここに至るまで、そのすべてを手伝ってくれたラティーナ元社員で、今回のツアーに通訳兼コンダクターとして就いてくれた伊藤亜矢だ。彼女も,ご自宅にはご老体の父親を抱えているのに「本田さんはタバコもやめないし,コロナにかかったら死ぬだけだから近寄らないように」と,フルで手伝ってくれた。心から感謝です。

 遅すぎる緊急事態宣言のなか、とっても退屈です。動いていないとその方が病気になる性格だけに、今のところドライブで気を紛らせているが、一体いつまでこの状態が続くんだろう?そんな中、我が家の大掃除を始めたら、その昔機内で読むようにと買った一冊の本を見つけた。タイトルは,その名も「パンデミック」だ。2003年に流行ったSURSの後、2009年に流行った鳥インフルエンザの頃、私はトランジットのために立ち寄ったダラスの空港で嫌な体験をした。ダラスに限らす、ヒューストン、アトランタ、マイアミなど、南部の空港職員は概して,北東部の人間よりは親切という印象を持っていたが、この時の男は違った。その時私は大きな荷物を2個と手荷物も2個持っていたため、入国審査のために使う、チケットやパスポートを胸ポケットに入れていた。税関で荷物をすべて開けろと言う指示で、手に持ったそのチケット類を一瞬口に加えてしまった。すると,その職員は「なんてことするんだ、シッ…離れろ」みたいな酷い仕草でもの凄く嫌な顔をした。特にアジア人にはその仕草をする。もっとも、あの時期に口に咥えたた方も悪かったが,だったらマスクだけでなく手袋くらいしておけ!と怒鳴ったが、明らかに差別っぽく映った。まぁ、そんなご時勢だったから、成田で機内用に何気なく買った本が、小林輝幸氏の「パンデミック」だったわけだ。当時は、時勢に合わせて素早く書かせて作ったモンだ、くらいの感覚だったが、今回読んで,なんだか今回の騒動の預言書のようで驚いた。あの時、安倍政権だったが、「1月中に研究グループを立ち上げる」と発表したが、鳥インフルが日本ではさほど流行しなかったから、もうすべて忘れてしまったのだろう。東関東大震災の「復興」もそうだが、口約束は現政権と言うより日本の政治家の得意技だ。しかも,今年はオリンピックの年だ。延長も中止も金がかかる。これが一番の原因だったに違いない。3月頭でもうパンデミックの様相が出ているのに「オリンピックは絶対に予定通り」を崩さなかった。2月の末、我々は計8公演を中止、海外の9公演を延期、タンゴ・ダンスはそれこそ濃厚接触で、グラン・ミロンガも6月のアジア選手権も中止していたが,それでもなお「オリンピックの日程に変更はない」だ。それよりも医療崩壊と言いながら,なんの手立てもない。4月になって、東京都や医療関係者のほとんどが緊急事態宣言を出すべきと言っても政府はしばらくは動かなかった。事態の重大さに気がついてからの動きに至っては,遅いだけではなく、もう無茶苦茶だ。まだ、各地の首長の方が,まだ危機感を持って対応しても、政府が出してきたのは、ようやくマスク2枚と30万円。それが非難の的になると,今度は公明党の怒りに負けて10万円を認めた。対策だって、貸し付けを安くしたところで,日本の経済は動かないんだよ。必要なのは大胆な給付金だ。そして盟友の副首相は,ここに至っても馬鹿発言を繰り返しているのに、モリカケ問題をはじめ沢山「借り」があるから面と向かっては文句が言えない。情けない。

 首相のアメリカのお友達も命に鈍感という意味では似たような立場。今世界中が生き方の見直しまで考え始めているのに、経済しか考えない。感染騒動を早く終わらせた方がどのくらい経済に貢献するか。医療崩壊は今後の新型インフルでも起こりうることだ。WHOはその対策のために存在すべきだが、各国の分担金の他に支払われている任意拠出金がくせもの。今回の発生場所が海鮮市場ではなく武漢研究所とする可能性に言及したり、中国国内でもっと早く手を打っていればパンデミックはなかったと言ってみたり話題を醸しているが、他のことは別にして、この辺りはまんざらでもない気もするが。その中国へのWHOテドロス事務局長(中国は彼の出身国エチオピアの最大の援助国)の気の配り方、拠出金の受け取りが巨額になっている件など確かに異常。これで一番先に中国がワクチンや薬の開発で大もうけでもしようモンなら,確かに世界は黙っていないだろう。どこもかしこも金の方が命よりも大切と考える輩が支配しすぎる。この騒動が早く収まって、別な方向に人様を導いてくれる指導者が出現すべきだし、世界はそういう政治家を選ぶべきだ。

 まぁ、緊急事態宣言がでて家の中ばかりいると,さすがにストレスがたまる。小林氏の新潮文庫から出ているこの本は、是非一度目を通してみると良い。同じ事しか繰り返さない新聞・TVよりはマシだ。

音のしない街感染爆発/コレラの街/世界規模の同時流行  第1章 パンデミックとは何か?シーンI
血まみれの鶏/パンデミックとアウトブレイク/世界は三度死んだ?  第2章 危険な年齢―十五歳から三十五歳―シーンII
一九九七年の香港から/鶏との濃密な接触/鳥の世界は感染地獄/若い世代が危ない/パンデミックフェーズは移行するか?  第3章 対策の限界―国、自治体、医療関係者―シーンIII
エボラ出血熱/同心円状に拡大する/「協力できない」医師たち   第4章 インフルエンザの予防は有効なのか?シーンIV
手洗いとおしぼり/タミフル問題の教訓/二回のワクチン接種/相撲協会の対策/日米プロ野球チームの防御策  第5章 怖いのはインフルエンザだけではないシーンV
夏に流行する病/南半球の流行期とは?/南アW杯での対策は?/ジーコも苦しんだ感染症/凶暴化するウイルス 第6章 輸入される感染症、輸出される感染症シーンVI
極めて危険なマラリア/蚊取り線香から白い靴下まで/稀少疾病治療薬/生薬の効能/「はしか」汚染国・日本/「はしか」を輸出してきた日本/「はしか」と「成人はしか」/「はしか」を根絶した韓国
   第7章 プレパンデミックワクチンの希望シーンVII
感染症ランキング/イエローカードが持つ力/副反応と臨床研究/ブッシュとインフルエンザ/豚インフルエンザと社会混乱終章 悲観論と楽観論のはざまで生活用品の備蓄は可能か?/海外で巻き込まれたら/現代には科学的武器がある