憎きコロナ!アルゼンチン、ブラジルでの制限措置….

 今回の新型コロナ関連では、実にいろいろなことが起こっている。世界での素早い対応を見ていると、日本が甘いのか、海外が敏感すぎるのか…まぁ、これは命の問題だけに、海外の方が正しいと見るしかない。日本の「専門家」は、コロナとは言っても、普通のインフルエンザとあまり変わりはなく、死に至るのは老人、既往症を持っている患者….と言い、「感染者の数をまともにマスコミに告げさせるより、検査のテンポも遅くしているうちに、若者はコロナ・ウィルスに感染して、抗体を持った人間を多くした方が早く沈静化できる。ほとんどの感染者は、今までのインフルエンザ同程度の感染力で、わずかな老人が重症化するだけ」とでも言いたげな政策ばかりだ。まぁ、世界中の感染者の数字もいい加減だらけ。中国はあの大都市であれだけの惨状を伝えているにもかかわらず、あまりにも感染者が少ないと思われていたが、昨日だったか、「感染者でも症状が出ていないものはカウントされていない」と国民から指摘され、慌ててそれを発表したが、どう考えてもそれでも数字が小さすぎる。日本はといえば、何しろ検査しないのか、させないのか、症状が現れて医者に行っても診てもらえない、何よりPCR検査を受けさせてもらえない、という苦情は結構最初からあった。だから、ある医者はTVでも発表されている数字の10倍はいると考えられる、と堂々と発言した。

 世界へこのウィルスが拡大するなか、我々の身近な友人、アルゼンチンのダンサーが熱を出してコロナ?と心配する出来事が起こっている。彼はあるショーに出演するために来日していたが、ショーがコロナの影響でいくつかの公演が中止。彼は日本の後に、インドネシアとイタリア、スペイン、ロシアと契約があったため、数日間日本に残っていた。実はアルゼンチンの往復の航空券は、片道で買うよりも往復の方が安かったりしたものだから、帰国便のチケットは持っていたが、必要なしと思っていた。ところがその日本滞在中にインドネシアの仕事がキャンセル。他の3ヶ国の契約は航空券代金はそれぞれに払われるから、まず自分で購入していた。ところが、日本滞在を延ばしている間に、今度はヨーロッパの契約が全てキャンセルに。ヨーロッパの片道航空券も、予定していた仕事の契約金もまだ運行中。全てがコロナのせいでキャンセル料も支払われなくなった。たまたま、日本では友人の持っているマンションの一室に住むことができていたので、今度は最初に買っていた帰国便を理由を話してやや遅く復権してもらうことになった。ところが、その日を待っている間に今度はコロナが南米にも拡大し、日本からの帰国者は空港から出たあとは自宅で2週間待機という条件がついた。それでも、向こうにいるよりも日本が安全、と高を括っていたら、今度はエセイサ空港閉鎖で帰国できなくなる。では日本に残って仕事でもして、とビザの書き換えを始めていた。ところが、それからすぐに発熱。日本での病気については、その元々の滞在期間中ならばすべて日本の保険で対処できるのに、ショーが終わり、契約期間が終わってしまっては保険の適用外だ。ところが彼は日本の後も長く海外に滞在するからと、自分で保険をかけてきていた。で、その保険エージェントに電話、保険が適用される日本の病院を指定してもらうと、最高の病院を言ってきた。早速スペイン語の達者な友人に車で連れて言ってもらう。症状を伝えると、まずPCR検査となり、今、結果を待っているところである。38度の熱を出したのが1日だったというから、コロナではない可能性は高いのだか、問題は家族を同伴してきたこと。早速、昔からの仲間が集まって今後の彼の去就を相談中、ということになっている。誰にも予測できない事態なだけに、本当に恐ろしいことに巻き込まれたと思っている。

 と言って、アルゼンチンの方はまだ感染者が少ないが、今やコロナが大問題。この国では昨年12月10日にアルベルト・フェルナンデス氏が大統領に就任した。もともと前のマクリ大統領時代から残っていた債務を再編して、一部債権放棄、利払いも2024年まで先送りするなどのシナリオを描いていて、債権者の反発も買っていたが、ここにきて、このコロナ問題だ。若く、有能とされているマルティン・グスマン経済大臣は、この債務再編に、バンク・オブ・アメリカ、イギリス系のメガバンクHSBCと契約するはずだったが、現時点でまだ契約もできていないという。経済再生どころか、デフォルトの足音もだんだんと高くなっている。友人の音楽家たちは一斉に「アルゼンチンの音楽文化は死んでいる。コロン劇場も、タンゲリアも、全てのミロンガも止まっている。このままだと誰も生活できない」と悲痛な叫びをあげている。

 アルゼンチンのコロナ対策の主なものには、EUならびにシェンゲン圏諸国、英国、米国、韓国、日本、中国、イランを感染リスクの高い国と位置付け、今後30日間に渡って、これら国からの航空便の停止と入国者に対する14日間の自宅待機義務付けを実施。また、上記感染リクスの高い諸国からの非居住者外国人の入国を30日間禁止する。また上記感染リスクの高い国の国籍者へのテンポラリー・ビザ、トランジット・ビザの発給停止。ショーやイベントなどを中止(期限付き)。

新型コロンウイルス対策を「ヒステリー」とやって孤立するボルソナロ

 隣のブラジルだって大変だ。最大都市を持つサンパウロ州は、最初に感染者が現れた2月26日からの180日間で、州内の死者は11万1000人に達するとの推計も発表されている。現在の数字はあくまでも各州から回答があった数字のみで、全体を示しているわけではないが、3月28日時点で感染者数3,904人、死者数114人。31日で感染者数5,717人。ペースとしてはアメリカ、イタリアを上回っている。ブラジルでは、27州中24州でロックダウンを実施しているが、ボルソナロ大統領は、これでは経済を止めると「ヒステリー」と叫んで断固拒否。その大統領へ抗議する集会や行動が連日続いている。日本では、同じようになぜか一人頑張って緊急事態を宣言しないのに抗議運動が起きないのだから情けない。これに対し、インペリアル・カレッジ・ロンドンは、何も感染防止措置を取らなかった場合は1億8,800万人が感染し、620万人が入院、死亡者は115万人に達するが、厳格な強制措置をとれば、死亡者は4万4千人にまで抑制できると報告。ところが、ICUを備えたベッド数は4万6千台しかなく、厳格な予防措置を取らなかった場合は、「医療崩壊」が起きると予測している。

 また、ブラジルのコロナ対策の主なもの(30日付)には 、空路での入国外国人一律入国禁止。(ブラジル人、乗り継ぎで国際線エリアから出ないものや配偶者などは例外。連邦区当局からの許可を要するイベント,映画及び劇場,公私立の保育所,小・中学校・高校,大学等,連邦区内で予定されていた全てのスポーツイベントは全面閉鎖。すべてのジム等運動施設,美術館,動物園,各種公園,ナイトクラブ,臨設・恒設市場,会員制娯楽施設,宗教集会,バー,レストラン,コンビニエンスストア,美容室,理髪店,マニキュア,エステサロン,ガソリンスタンド内コンビニエンスストア及びミニマーケット,キオスク,フードトラック,宝くじ売り場(Loterica), 出張型金融施設,板金・車塗装業,路上販売,歩行販売は営業不許可。などがある。