羨ましい限りのオリンピック「延期」,,,,,

 コロナ騒動はさらに動きがあった。3月24日、とうとう延期が発表。初代IOC会長デメトリウス・ビケラス(ギリシャ)や事務局長に就任したクーベルタン(フランス)が提唱し、1896年4月6日にギリシャ・アテネで始まった近代オリンピックだが、以来延期は初めてとなる。中止は全部で5回、いずれも戦争が原因だった。しかも、そのうちの2回は日本が関わっている。1940年夏期東京、冬期札幌は日中戦争が原因で中止となっている。今回、新コロナ・ウィルスが話題になって以来、IOCのバッハ会長(ドイツ)、JOCの最高顧問森喜朗氏は、執拗に「予定通り開催」を発表。アスリート・ファーストを言いながら、あくまでも「予定通り開催」を言い続け、何時までも「延期」を言えない背景を皆が勘ぐったと思う。JOCの会長は柔道の山下氏のはず。元ロンドンオリンピックで組織委員会会長を務め、「金をかけないオリンピック」を大成功させたセバスティアン・コー氏に比べて、会長ではない森氏が責任者として出てくる姿に、世界の潮流とかけ離れた日本のイメージは最悪になった。何時だったか冬季五輪でも招致委員会とIOCの間の汚れた金の動きが表面化して時間が経っていないし、まだ元オリンピック選手だったバッハのイメージはギリでセーフだったにしても、森最高顧問はない。

セバスチャン・コー男爵(現国際陸連会長)

 山下氏が適任かどうかは別にして、セバスティアン・コー氏の働きの素晴らしさと比べて、海外でも有名?な森氏ではないだろう。森最高顧問というと、首相の時の海外、ロシアでの発言、本人は日本的な冗談のつもりだが全く世界に通用しないユーモア?を連発。できる通訳の機転で乗り切ったという失言の連続だったと聞いている。それどころか、息子で第一秘書を務めていた男は、飲酒運転で事故の上、押尾学事件の噂など、黒い噂が絶えない。岸信介に世話になって政界でのし上がった森氏だから、岸氏の孫、阿倍首相の元で、オリンピック最高顧問として表に出るのはなんの不思議もない。日本にだって、運営に詳しい選手経験者は結構いるだろうに…。運営に強い、力のあるアスリート出身にJOC会長にもっとやりたいように任せていたら国立競技場の馬鹿なデザイン問題もなかったかもしれないし、世界のアスリートから今年夏の東京ボイコットの声が出てくる前に、延期の話も出ていただろう。本当に恥ずかしい。日本でコロナ問題が落ち着けば夏開催となって、経済が順調になんて誰も思っていなかったんだよ。忖度政治、と言う恥ずかしい日本の姿をさらけ出してしまった。まぁ、コロナの危険度上昇とアスリート発の世界の声にこれ以上耐えられなくなって延期を発表したのだから、本気で延期を考えてなかったのかもしれない。今日、東京でコロナ問題が本格的に浮上し ているが、昨日のニュースで政府も東京都も自粛を叫んできたその日に、あの阿倍昭恵様がまたやらかしてくれた。自粛の看板でもある「花見中止」を堂々とお破りになったと。国民はあきれてものが言えないのだが、それでもまだ政界もマスコミもさほど追求しない。もう終わってる、この国は。

 それにしても、新コロナ問題の世界での感染ぶりは今のところとどまる気配はない。中国が発表する数字は出鱈目なことは誰もが知っているし、感染が治まっているとは思えないが、総統選挙で国民が反中国を選んだ台湾や香港では早くから水際作戦を徹底したおかげで確実に感染は収束に向かっている。「専門家」の助言で、検査をさせずに正しい数字を隠してきた日本は、ここに来てだんだん正しい数字を表せて、自粛ムードを高めてきているが、これで本当に収まる方向に行くのかは疑問だ。そこに、リーマンショック以上の金をばらまいて国民の目をそらそうとするやり方は、もう末期的というしかない。ただ、こんな危機的なときこそ政治家の姿がはっきり見えるというのに、それを書けないマスコミもどうしようもない。困ったものだ。ただ、医療関係者の新薬に対する努力が少しずつ実を結ぶのはそう遠くはないような気がする。そのことにだけは大いに期待したい。医療崩壊が起こってしまっては、その努力のスピードも遅れてしまう。

 先が読めない今、我々の音楽商売は最悪の状態だが、もう前に進むしかない。1年延期、7月23日の開催だから、これからのイベントなどは来年秋から冬にかけてスケジュールを組むしかない,,,,。オリンピックは延期して、莫大な経済施策を発表しても、どうせ国民の金でまかなわれるが、音楽業界に限らず、民間企業は深刻だ。前を見ながら進むしかない。このコロナ問題では、壊滅的な打撃を受けている民間の中小企業、我が音楽の世界への救済策は、せいぜい金を借りやすくする程度。いくら無利子で金をかりたにしても、結局は払う金。救済を公平にやるなら、莫大な金持ちには据え置き、または増税にした「消費税のゼロ、または大減税」だろう。要するに、こんな緊急事態には、政府に入るべき金を見直し、今起こっている借金を政府が肩代わりする事。そのために、一番わかりやすくて公平な方法は、まず消費生ゼロ、あるいは減税策しかないと思うが。ここにきて、森友事件で自殺に追い込まれた財務省近畿財務局の上席国有財産管理官、赤木俊夫さんの手記が文集にスッパ抜かれ、再び矢面にさらされる首相は、森友隠しと、選挙目当てで、緊急経済対策で考えられない予算を計上しようとしている。

 どんな屁理屈を言おうとも、これらの問題に関する政府の答弁を、信じているものは殆どいないことを肝に銘じるべきだ。さて、コロナ問題全体に言えることだが、これを力強く解決するには「国民の政府に対する信頼」が何よりも必要だ。思い付き、言い逃れの世界からは何も生まれない。かといって緊急事態だから、少なくとも、当たり前の解決策を考えて欲しいし、考えたい。一人、一律で金を払うよりも、余分に金を稼いでいる人間が、この際このコロナ問題で生じた中小企業の借金を肩代わりする仕組みを打ち出した方が何倍も説得力があると思うが。オリンピックは、延期しようとしまいと国民からの金を使えば良いことで、政府は何も困らない。困るのはこのコロナ問題での自粛騒ぎなどから生まれた貧者を公平に救済するのに、まず一番わかりやすい方法で、もっと頭を使えばもっと良い政策だって考えつくはずだ。「オリンピック」への期待感を利用して、はした金で済まそうとしたって、国民は納得できるものではない。時間をかけても今回の借金を、終わるまで国の金で肩代わりする政策こそ皆が臨んでいるはずだ。もちろん、緊急に救済する方法も加味しながらだが。