アジア選手権最高の盛り上がりのうちに終了!!!

今年のタンゴダンスアジア選手権も無事終了。今年は渋谷駅近くのさくらホールというやや小さめのホールだった。なにしろ今時はたくさんのホールが閉鎖や改築で少なすぎる。しかも、抽選だから大変。しかし、昨年の抽選では何とかここ子を押さえることができた。結果的には、大きさもちょうど良く観客の盛り上がりにもこのくらいの方が良かったかも。

 

_DSC7494毎年出場者の申し込みが直前まで心配だが、今年も大きなストレスだった。昨年からなにしろ海外勢、例えばフィリピン、インドネシア、シンガポール、韓国、台湾、香港からの出場者が急増しているが、今年も出場者の半数は海外勢、しかも申し込みが早かった。逆に日本人の出場者が減ってしまった。特にピスタ部門の方は、昨年もそうだったが、海外勢の優勢が明らかで、それも日本人出場者の少なくなった原因だと思う。日本の方がタンゴダンスの愛好者は圧倒的に多いのだが、悲しいことだ。しかも、昨年は史上一の参加者を得たが、準決勝進出ペアが30組と少なかったために、「レベル」を感じて出場を辞めた人もいたはず。今年は一応半数は準決勝に進出できる計算にしていたが、これで来年は少しは変わってくるものと思う。それにしても、日本にはこのアジア選手権を名義主催してもらっている日本アルゼンチンタンゴ連盟という団体があって、会員は150人くらい入るのだが、そこからほんの一部しか出場していないのは残念だ。先生になると、生徒の手前負けられないという事情もあるのだろうが、それは海外だって同じはず。こんなことでは日本でタンゴダンスが飛躍的に発展なんて事は望めないだろう。来年は日本人カップルの奮起を促したい。

 

もう12年にもなるが、この選手権の運営は簡単ではない。当初は手作業でやっていた採点も、コンピューター処理するようになり、手順で詰められることはかなりやったが、それにしてめまぐるしい仕事が一杯だ。昨年、弊社は社員の入れ替え時期でもあってかなり大変だったが、今年は彼らももう慣れたもので運営的には大分安心してみていられた。親交も通訳もやって、採点も汚い仕事もこなして、運転も、荷物の運びも…弊社の社員のレベルの高さにつくづく感心したものだ。もちろん、いつもほぼボランティアのように手伝っていただいている連盟の皆さんや、たくさんの人たちはなくてはならない重要な戦力で、今回も本当に助かった。

 

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ダニエル&アレハンドラと9才の息子バレンティン

今回の審査員はアルゼンチンから現地で審査委員長を務めたこともあるクラウディオ・ゴンサレスとフリア・ウルティ、あの「コルポラシオン・タンゴ」のリーダー、ダニエル・フアレスとアレハンドラ・アルメンティの4人。日本在住からエンリケ・モラーレス、クリスティアン・アンドレス・ロペス、エルネスト・ボルゴノボの3人。日本在住の3人は準決勝までの審査とした。審査員の選定はどうやってもいろいろ言われるものだが、今回もなかなか良い審査員を選べたと思っている。実はクラウディオはまだまだ駆け出しの23才の頃、日本公演に、あるクアルテートのダンサーとして招聘し一緒に仕事をしたし、ダニエルとアレハンドラも何度か来日させてきた、旧知の仲間だ。今回はまさに審査員の仕事だけの来日で、彼らには申し訳なかったが、ビザの問題がある以上しょうがない。ダニエルはこの仕事の後に続いていた近隣国での仕事がキャンセルになり、しばらく日本にいることになった。彼らは日本が大好き、今回この仕事を依頼すると、主点料もいくらでも、なんなら近くまで行くので飛行機代まで自分で行くからと言ってくれた。本当に、心から日本での仕事を愛してくれている素晴らしい仲間である。

 

さて、優勝はピスタ部門が以前この選手権でステージ・チャンピオンになった韓国のパソ&エリ、ステージ部門は昨年の選手権でピスタ部門のチャンピオンになったマイコル&マイコに。いずれも過去にこの選手権でチャンピオンになったカップルだが、過去の出場者は参加できないというルールは採っていないし、アルゼンチンから来た審査員にも過去のことは告げていないから、結果は順当だったと思う。もちろん、できればフレッシュなチャンピオンの登場を望みたいが、それと審査は別問題だ。両チャンピオンは昨年の世界選手権も体験して「世界のレベル」の高さを実感しているはず。ファイナリストですらかなり遠いところにあるのが実情だ。代路一掃奮起してアジアの実力を見せつけて欲しい。

アジア選手権結果

 

今回は会場が小さくなって心配したが、それよりも渋谷駅から近い、新しく綺麗といった利便性の方納花が翌、かなり好評だったと思う。実は来年の会場取りには6月は全敗している。なんとか来年の7月の早いうちに開催できるよう抽選に臨むしかない。

とにかく、ご協力いただいた皆さん、ご苦労様、そして有り難うございました。

konnkaiha 開場がこ

タンゴダンス・アジア選手権まで1週間。

2016タンゴダンスアジア選手権チラシ_omote
アジア選手権チラシ・ポスター

いよいよ今年もタンゴダンスアジア・アジア選手権の時期が近づいてきた。思えば今から12年前、あのイバラ元ブエノスアイレス市長が43才の若さで市長に当選した直後に始めたのが世界選手権だった。その2回目の翌年、その市長を支えたスタッフの一人が、アバスト地区再開発に関わっていた仲間で、私のところに日本大会をやって欲しいと依頼してきたのが最初だった。私自身、ダンスというものには全く興味がなく、日本でタンゴダンスと言えば思い浮かぶのが老齢のタンゴ・ファンが集ってやっている、ということだけ。しかし、帰国して調べてみると、すでに若いファンたち、しかも結構な数のファンがいることを知った。その仲間たちというのは、例えばあの小松亮太の仲間たちで、昔の飲み仲間だった向島に住む桑原和美さんが主宰するタンゴ・ラブというグループだったりしていた。

昔5,60年代に大ブームがあったせいで、日本でタンゴというと、まずファッショナブルとは言い難い老齢のファンが現れる。それがどんなムーブメントを起こそうとする時にも〔ピアソラをプロモーションするときでさえ〕邪魔だった。タンゴ・ラブもその問題に直面していて、彼らのミロンガでは若い世代に限るために老齢者お断りの決まりを作って、多少問題になったりしていた。そこに、小松亮太のプロモーションを担っていたソニーミュージックの社員たちが加わって、白銀のソニー・ミュージックの最上階のクラブでレッスンとミロンガまで開催していた。

_DSC9391そのことに意を強くした我々は、このブエノスアイレス市の申し入れを受けることにしたのだった。しかし、マルモンティという市から選手権の取り仕切りを依頼されていた男は、開催する権利料をとると言い出した。これがすでに開催に向けて動き出してから。最初から赤字覚悟の出発だったのに、まさに追い打ちをかけられた形だ。何人か資金を援助するという人間も現れ、1年目は予想以上の人気となった。最初の年は韓国人カップル、翌年は神戸の亮&葉月という日本人カップルがステージ部門を制し、世界大会でも準チャンピオンという偉業を成し遂げた。アジア大会の方も当時はステージが主流。世界的に〔アルゼンチンも含めて)プロモーションのためには派手なステージ部門が主導すべきなのだが、そんな本質をわからない老齢者がどこにもいて、TV放映の際におかしくすることがよく起きた。その問題は今も続いている。ミロンガ用のピスタが伝統的で、その存在がタンゴの層を多くするのも事実だが、何も知らない若者たちが、タンゴ・ダンスに最初に気をひかれるのはあの派手な振り付けのステージに決まっているのに、その感覚がわからない輩がいる。TV曲の若いスタッフもみろんがに言って、ステージのデモを見てせっかくやるきになっているのに、ピスタが大事だからと言ってピスタの絵を入れるように上司に言いつける。と、スタッフはまさにやる気のない番組を作ることになる。そして、そんな輩はそれが自分のせいだと気付くことはない。しかも、そういった老人は、じつは音楽の方だって全く感覚的にわからない人間が多い。そんな訳のわからない邪魔をされながらも、なんとか13回に辿りつけた。これからは、そういう訳のわからないのを一日も早く排除して、正しくプロモーションしていこうと思う。

_DSC9384今年は13回目のアジア選手権である。1週間前の今日、出場者の締め切りだったが、ピスタ77組、ステージ15組、計184人の出場が決定した。昨年から何故か海外組が増えて、120組近い出場者だったのだが、海外組の方が強く、準決勝の時点で日本人がたくさん落選してしまったことの影響もあるのだろう、今年は海外勢に比べて日本人の参加者が減ってしまった。とはいえ、全部で92組もの出場者だ。始めた頃とは比べものにならない興隆ぶりである。

昨年の世界選手権で、ロシア勢の活躍が目立ったが、アジアでもインドネシア、フィリピン、韓国あたりのレベルが年々上がってきていて、アジア大会でも彼らの上位入賞組が増えている。日本が一番愛好家の数は多いのに、何故か海外勢に引けをとっている。

ステージ部門は、アジアでは日本勢のお家芸だったが、アジア大会の初回と、数年間の2回だけは韓国のカップルにチャンピオンの座を奪われている。今年のステージは以前にチャンピオンになった韓国のカップル以外は皆日本人だ(コロンビアと日本のカップルも1カップル)。ピスタ部門は、申し込み最初の40組はほとんど海外勢だった。ステージは15組と出場者数は少ないが、力のあるカップルが揃っていて熱戦が期待できる。ピスタの方も日本人の活躍を大いに期待したい。

ところで、今年はアルゼンチンから連れてくる審査員の顔ぶれを変えた。今まではビザの問題もあって、似たような顔ぶれになってしまっていたが、今年からレッスンをやらずにデモと審査に集中してもらうようにしたところ、昔からよく知る、しかも世界選手権では審査員としてかなり中枢にいる2カップルを招聘することになった。彼らのデモは実に楽しみだ。改めてステージの良さを実感できる素晴らしいデモになることと思う。1週間後を控えて、事務所にも出場者たちの来社も多くなって雰囲気が盛り上がってきた。後少し、頑張るしかない。

新しい駐日アルゼンチン大使のことなど

5月24日、アルゼンチン大使館の公邸でで、日本アルゼンチン協会の懇親会。あまり参加しないが、年に一度の懇親会は出席できる時は出席するようにしている。今年は親しくして頂いたラウル・デジャン前大使が帰国し、新しい大使が来て初めての懇親会だったので参加。私はあまり大使館関係のイベントには積極的な方ではないのだが、さすがにアルゼンチンとは建国200周年あたりからなにかと一緒に考えて来ただけに、あの公邸には行くことが多くなった。今年は、あのビル全体の空調が止まってしまって大変なようだった。いつまで?と聴いたら「夏までには直してもらわないと」と悠長な返事。アルゼンチンらしい。

 

_DSC9363ところで、アルゼンチン大使は20010年まで着任されていたポルスキー大使あたりから親しくさせて頂いている。2004年からタンゴダンスアジア選手権をやり始めたこともあって、挨拶をお願いしたり、いろいろ依頼毎も多くなってきたから。当時はオセラ公使という非常に暖かいお人柄の公使がいて、何度か大使の代わりに挨拶して頂いたが、大使館との気分的なつながりは彼の存在が大きかったと思ってる。ポルスキー大使の頃から、日本とアルゼンチンは、まだ大事ではないにしても経済政策上のつながりが強くなってきたと思う。そして、飯塚さんがNTTドコモからNECに移られてビッグローブの社長をなさっていた頃、TVのデジタル回線を日本方式に採用してもらうために一緒にリマとブエノスアイレスに同行したが、その際、私の友人、グスターボ・ロペス官房副長官がまさにその仕事のためにクリスティーナ大統領から直接任命された直後とあって、フランスに遅れをとっていたかに見えた日本方式が最終的には決定。南米全体に日本ブラジル方式(ブラジルが日本方式を決定する時に技術上の提携もしていたためにこう呼ばれることになっている)が広がった。そのイベントの場で、実はこれから在日日本大使にラウル・デジャン氏が決まったというので紹介された。だから、デジャン大使には着任後も本当に良くして頂いた。その間、ロペス氏や彼の政敵ではあるが(もともとは仲間だった)ロンバルディ市文化大臣などが日本を訪れてくれた時も、大使館にもお連れして大使にも喜んで頂いた。結局、デジャン大使は選手権やグラン・ミロンガにはほとんど確実に来てくれて挨拶して頂いた。選手権とかミロンガは開催が土日なので、実は彼らの休みを邪魔する訳なのだが。だから、デジャン大使(2010年6月〜2016年4月30日)の離日のパーティでは、凄く寂しい感がこみ上げてきたのを覚えている。

 

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ベロー大使

そして、この日は以前からいらっしゃるフェリーペ公使に新しい大使を紹介して頂いた。新駐日アルゼンチン大使は、アラン・クラウディオ・ベロー閣下(His Excellency Mr. Alan Claudio BERAUD)だ。ベロー大使は、私がブエノスアイレスに滞在中に着任、4月21日に皇居で天皇陛下に信任状を捧呈し、正式に駐日アルゼンチン大使として着任したが、着任した早々の大イベントがミチェッティ副大統領の来日という大仕事。ベロー大使はもちろん経済が一番のお仕事だが、国も新体制になってオバマ大統領を迎え、日本とも開かれた経済関係を促進したい、そのための大イベントを早速任されたわけだが、大成功に終わったよう。とりあえず、文化関係を取り仕切るフェリーペ公使も一安心と言ったところ。アジア選手権には新大使も公使も出席してくれると言うことで、盛り上げていくことになった。

 

さて、大きな話題を呼んだ伊勢志摩サミットとオバマ大統領の広島訪問。いろいろ物議を醸しての来日であったが、オバマ大統領の広島訪問とスピーチ。サミットそのものの運営は完璧だったのだろうが、際だったのが我が国の首脳の頼りなさ。スピーチがいつもコピペじゃいかに熱意がないかを示しているようなものだし、海外のメディアだって馬鹿にして報道すらしないだろう。アベノミクスの成功・失敗を巡る与野党の論議が活発だが、今度は選挙を巡って消費税10%増税への引き上げをやめるためにの言い分で程度の低い論争が活発。賛成・反対は別にして、民主党政権時代のどうにも重苦しい雰囲気から、世間を解放したのは事実だ。円安、株高を招き、輸出_DSC8939が伸びて、国民の給料も上がって、物価も上がってデフレは解消…夢のような復活劇をみんなが期待した。しかし、その結果が思うように上がらず、安倍首相が大企業に働きかけ、大企業は従業員の給料を上げるよう要請する。しかし、日本人はラテンアメリカの人間とは違う。ブラジルとかアルゼンチンなどは少し先行きが明るくなると後先かまわず消費に走る傾向があるが、それから比べたら日本の問題は「低欲望」社会。個人は1600兆円の金融資産、企業は320兆円の内部留保を持っているのに、それを全く使おうとしない。貸出金利が1%を下回っても借りる人がいない。世界で稀な国民である。その国民に向かって、大企業が例えば月給1万円を上乗せしたからといって消費が伸びるはずもない。おそらく自民党の中でもアベノミクスを考え出した人と、それを阻止しようとする力関係はあっただろうし、下手すれば、それが理屈ではなく選挙区内の事情での対立かもしれない。

 

アベノミクスを考えた人たちはかなり優秀な政治家だ。おそらく消費税の上乗せにも最初から反対していたに違いない。「消費増税に向かったら日本は破滅」と説いたノーベル賞経済学者クルーグマン氏を招いて首相に会わせたのも同じグループの政治家たちと聞いている。しかし、その時にも今回のサミットの席上で「今世界はリーマン・ショック以前….」と言ったとか言わないとかとの屁理屈で国内問題を国際問題にかこつけて失笑を買っているが、理念を理解しないまま事を解決しようとする浅はかな政治家と優秀な政治家を一色単にしてまとめようとして失敗する。国内にたくさんばらまいた円を海外で良い格好するために使うだけでは、うまくいくはずがないのは自明の理だろう。デフレ脱却には、まず国内市場の活性化が必要で、そこから給料上がる感が先にきて、つづいて物価も上昇する順でなければ、日本国民が消費する訳がない。しかも、その間に強引な会見など国民があまり好きではない話題を挟む物だから、もうどうにもならない。まぁ、今の政権の大きな失敗と言えば、真理の見えない首相を取り囲む利口な政治家たちと馬鹿丸出しの政治家の間をとるような「八方美人」政策だったに違いない。そこに「選挙」が絡んで、この国がどん底を向かわなければよいが。

 

話が飛んだが、オバマのスピーチはなかなか素晴らしいものだったと思う。こんな世の中では、核軍縮がすぐに望めるべくもなく、核をなくそうという発想が世界に少しぢつでも広がることが大事だ。その意味で、政権最後とは言え、オバマのスピーチは素直に素晴らしかったと思う。 オバマのスピーチ全文

 

アルゼンチンも、信条とは別に暗い話題が続いたクリスティーナ政権が終わって、マクリ政権の元、かなり積極的に動き始めてはいるというものの、本格的に成果を得るのはまだまだ先のような気もする。しかし、そろそろ楽しく文化を始められる時代が来てくれないと、世界は終わってしまう。